鮮やかなオレンジ色の制服を身にまとい、過酷な災害現場で人命救助に挑む「レスキュー隊」。その勇敢な姿に憧れる人は多いですが、実際のレスキュー隊の年収や一般的な消防士との違い、どうすればなれるのかといった全貌は意外と知られていません。
今回はレスキュー隊のリアルな年収事情から必要な資格、消防士との違いまで詳しく解説します。
レスキュー隊の年収はどのくらい?
命を懸けて極限の現場に飛び込むレスキュー隊。気になる年収はどのくらいなのでしょうか。
出典元:Amazing JAPAN
平均年収の目安
レスキュー隊員は全員が地方公務員です。そのため、基本給は各自治体の公務員給与規定(公安職俸給表)に準じます。総務省の「地方公務員給与実態調査」などを基に算出すると、消防士全体の平均年収は約600万円〜650万円(平均年齢40歳前後)。
しかし、勤務する自治体の財政規模によっても差があり、例えば日本最大の消防組織である「東京消防庁」や大阪市などの大都市圏。
こういった所では、地方の小規模自治体に比べて地域手当が高く設定されているため、平均年収が50万〜100万円ほど高くなる傾向があります。
年齢別・階級別の推定年収
表にまとめました。
| 年齢・階級の目安 | 推定年収 | 特徴・役割 |
| 20代前半 (消防士) | 約350万 〜400万円 | 配属されたばかりの若手。 訓練と現場経験を積む時期。 |
| 30代 (消防副士長・消防士長) | 約500万 〜650万円 | 現場の中核。 経験豊富で、後輩の指導や難易度の高い救出を担う。 |
| 40代 (消防司令補・現場隊長) | 約700万 〜800万円 | 救助隊長(指揮官)として現場の判断を下す立場。 管理職手当も追加。 |
| 50代 (消防司令・管理職) | 約800万 〜900万円以上 | 署の幹部や救助課長など。 現場を退き、組織全体の指揮を執ることが多い。 |
レスキュー隊は「特殊勤務手当」がある
「じゃあ普通の消火隊とレスキュー隊で給料は変わらないの?」と思うかもしれません。しかし、実はレスキュー隊の方が各種手当が多く支給されるため、同年代の他の消防士に比べて月々の給与が高くなるケースがほとんどです。
1回出動するごとに数百円という手当もあり「それなら大したことないのでは?」と感じるかもしれませんが、24時間勤務の中で何度も出動を重ねるのです。月単位・年単位で見ると数万〜数十万円の差になることも。
また、過酷な現場を乗り切るための強靭な体力を維持する「夜間勤務手当」や「休日勤務手当」も確実に加算されます。
手当の種類
主な手当の例をまとめました(金額は自治体により異なります)。
- 災害出動手当・救助出動手当:1回出動するごとに数百円。
- 高所・深所作業手当:地上・水面上10メートル以上の足場が不安定な高所や、酸素欠乏の恐れがある深所(マンホールや洞窟など)での作業1回につき数百円。
- 潜水手当(水難救助):潜水器具を着用して水中に潜った際、深度や時間に応じて支給(1回1,000円〜4,000円程度)。
- 緊急消防援助隊手当:大規模地震で被災地に長期派遣された場合、1日あたり約3,000円〜4,000円が支給。
レスキュー隊になるには何が必要?
レスキュー隊は「明日からやりたいです」と言ってなれるものではありません。知力・体力・精神力のすべてでトップクラスでなければ辿り着けない狭き門です。
レスキュー隊になるための具体的なルートは、大きく以下の3つのステップに分かれます。
出典元:下関市消防局
「地方公務員(消防官)試験」に合格する
大前提として、まずは消防士にならなければ始まりません。各自治体が実施する「消防吏員採用試験」を受験します。
試験は大卒程度(Ⅰ類)、短大卒程度(Ⅱ類)、高卒程度(Ⅲ類)などに区分。筆記試験(教養・論文)と過酷な体力試験(シャトルラン、懸垂、上体起こしなど)、そして面接試験が行われます。
消防学校を経て「他の部隊」で実務経験を積む
試験に合格すると、全寮制の「消防学校」に数ヶ月間入校し、消火・救急の基礎を叩き込まれます。
卒業後は、まず全員が「ポンプ隊(消火隊)」などに配属され、現場のイロハを学ぶのです。最初からレスキュー隊に配属されることは原則ありません。まずは一般の消防士として規律、現場での動き、無線連絡の方法などを体に染み込ませます。
「救助隊員選抜試験」を突破する
数年の実務経験を積み、上司からの推薦を得ると、レスキュー隊員になるための「選抜試験」(救助選抜)への挑戦権が得られますが、非常に過酷なこの試験。
- 体力審査:懸垂数十回、重い資機材を持った状態でのダッシュ、息が切れた状態での思考テストなど。
- 精神力・適性審査:閉所恐怖症や高所恐怖症がないか、極限状態でも冷静でいられるか。
この超難関を突破した者だけが「救助技術専門科」などの特別な訓練課程に進むことができ、約1〜2ヶ月間の地獄のような訓練を耐え抜いた末に、ようやくレスキュー隊としてデビューできるのです。
レスキュー隊と消防士の違いは?
前述したように、過酷な試験・訓練を突破した人だけがなれるレスキュー隊は、消防士という大きな職種の中の「精鋭エリート部隊」。そんなレスキュー隊が着用する服は、一目でわかる鮮やかなオレンジ色ですよね。
これは煙が充満する暗い火災現場や崩落した土砂の中、あるいは夜間の事故現場など視界が悪い環境でも隊員同士の位置が確認しやすく、要救助者からも発見されやすいのです。
消防の世界ではあのオレンジの服を着ること自体が一種のステータスであり、選ばれた者しか身にまとえない「勲章」のような意味合いを持っています。
役割による明確な違い
消防署に勤務する職員は全員「消防吏員」、通称・消防士です。消防士は現場での役割によって主に以下の4つの部隊に分かれています。
- ポンプ隊(消火隊):主に火災の消火活動を行う。(青や紺色の活動服)
- 救急隊:急病や怪我人を病院へ搬送する。(グレーや白ベースの活動服)
- 救助隊(レスキュー隊):火災だけでなく交通事故、水難事故、地震などで「自力脱出できない人」を専用の資機材で救出する。(オレンジ色の活動服)
- 予防・総務部門:建物の査察や防災指導などを行う事務・管理系。
まとめ
ここまで、レスキュー隊の年収や消防士との違いなどをご紹介しました。
レスキュー隊の年収は、公務員ということや手厚い特殊勤務手当があることで安定しており、人命救助の最前線で活躍する非常にやりがいのある仕事です。
しかしその裏には、選び抜かれた精鋭としての厳しい訓練と、命懸けで現場へ赴く高い使命感があり、究極のヒーローと言える職種です。










